X線光電子分析装置
概 要
 本X線光電子分光分析装置(XPS)は固体表面の元素および化学結合状態を調べる表面分析機器である。高真空中で固体試料表面に軟X線(Al Ka またはMg Ka線)が照射されると、光電効果によって試料から光電子が放出される。試料表面の深い領域から放出される光電子は、表面に到るまでに非弾性散乱を受けて運動エネルギーを失い、スペクトルのバックグラウンドとなる。数nmの深さ領域から非弾性散乱を受けずに脱出してくる光電子のみがピークとして検出される。原子の内殻電子は原子ごとに固有な結合エネルギーを持っているので、ピークのエネルギーから元素の種類が、シグナル強度から元素の比率が調べられる。検出可能な元素はLiからUまでで、検出限界は元素によって異なるが、0.1%程度である。なお、Arイオンエッチングをすれば、最表面上の汚染物が除去された清浄面の元素分析やサブミクロンオーダーにおける深さ方向の元素分布の分析も可能である。
 現在、「硫黄架橋クラスター錯体の電子状態」、「三元銅カルコゲナイド中の銅の電子状態」、「積層不整層状遷移金属ダイカルコゲナイドの合成」、「酸化チタンの表面状態の解析」、「アルミナ触媒化学発光と触媒表面状態の相関」、「窒化炭素の電子状態」などの研究に使われている。
性能 特徴
 島津 / KRATPS 製 光電子分光分析装置 AXIS-HS
  加速電圧15KV  電流10mA  
  エネルギー範囲 0 〜 1500eV
  分析面積 30μmφ、60μmφ、120μmφ、Slot 、Survey
  試料ステージ 最大15mmφ × 4mmt
  デュアルアノート Mg/Al  モノクロメータX線銃
  極表面原子間の結合エネルギー
利用申し合わせ
【X線光電子スペクトル測定装置(XPS)の利用申し合わせ】

l.XPSの管理・運営
(a) XPS装置の管理・運営などに必要な事項は、主たる利用者による会議(ユーザー会議という)
      で審議・決定する。
(b) 会議は機器責任者が召集するが、メール上で行う場合もある。
2.機器責任者等の選出
(a) 機器責任者およびメンテナンス担当者をおく。
機器責任者は当分の間、納入責任者が担当する。
(b) メンテ担当者は利用者中から互選で選出する。
  (c) 任期は1年間とし再任を妨げない。
3.利用者の範囲
(a) 本学教員及びゼミ学生、大学院生が研究・分析目的で使用する場合に限る。
(b)飛び込み利用(テスト利用)を希望する場合は、機器責任者に申し出て、適当
     な学内ユーザーを紹介してもらい、その指導のもとに使用する。
  (c)学外からの利用依頼については、ユーザー登録している者が窓口となって受け
入れ、利用時に立ち会い、必要な指示を行う。
4.ユーザー登録
  定常的に利用する者および利用を予定している者は、年度始めにXPSユーザー登録を行わねばなら
    ない。(具体的には、実際に装置を使う教員および学生氏名、所属を登録する。)
5. 利用者講習
新たに利用する者は、年度始めに行われる使用方法についての講習会を受けなくてはならない。
(保守作業時期に合わせて業者に依頼する)
6. 維持費等の負担
(a) ユーザー登録者は、維持費(保守経費分担金)を負担しなければならない。
分担金は基本料と使用時間に応じた金額とからなる。(前年度実績で算出)
(b) 機器維持に必要な消耗品は利用者の負担とする。
(c) 保守契約外修理が必要な場合は、利用頻度に応じ、利用者は応分の経費負担をする。
7.利用時間の割り当
利用時間は当分の間、機器室前のカレンダーに記入する方式で行う。ただし、利用者が混み合った
場合、時間の調整を行うこともある。
8.利用上の諸注意
 (a)運転日誌に必要事項を記載する。
 (b)機器の動作に異常を認めたときは、直ちにメンテ担当者に連絡し、指示を受ける。
この際、異常の内容と原因(どのような作業をして異常が生じたか等)をノートに詳細に記載して
おく。(これは、修理依頼するするときに必要)
 (c)利用者は機器室内の整理・整頓を心掛け、使用後は清掃を行う。
9.その他管理・運営に関して間題が生じた時は、その都度XPSユーザー会議で審議する。
10.この申し合わせは平成13年7月1日から施行する。

岡山理科大学・総合機器センター・XPSユーザー部会